Column

《コラム》日本経済の救世主になれるかM&A促進税制

◆政府がM&Aに熱い視線 経済産業省は、1年ほど前に公開した「中小M&Aガイドライン」でM&Aの後押しをする姿勢を鮮明にしています。 「中小M&Aガイドライン」によると、2025年までに、平均引退年齢の70歳を超える中小企業の経営者が約245万人おり、うち半数の約127万人が後継者未定とのことです。 廃業による経営資源の散逸が積み重なることにより、優良な経営資源が活用されないまま喪失されてしまうことは、日本経済の発展にとって大きな損失との認識で、M&Aの普及がその対策として有効な切り札であり、生産性の向上にも資するとしています。そして、10年で60万、年平均10万のM&A契約を成就するとの計画を立てています。 ◆計画実現のために役割喚起 そのため、売り手・買い手を繋ぐM&A専門業者の活性化を期待するとともに、商工団体、金融機関、弁護士・公認会計士・税理士といった各分野の専門家に向けても、それぞれの分野別にM&A支援として期待される役割や留意点などを提示しています。 M&A業界は、30年ほどの歴史の新興産業で、現在の専門業者数は300社程度とのことです。日税連もホームページでM&Aのマッチングをすすめています。 ◆切り札としてのM&A促進税制 令和3年度税制改正の中に、M&A促進税制が二つあります。1.株式交付M&Aでの譲渡益繰延制度2.M&A投資リスクに備えるための株式取得価額の70%損金算入制度 株式交付の場合の譲渡益繰延制度創設は、2019年中に経産省が改正要望事項としてあげていたものですが、会社法の株式交付制度創設の施行予定が2021年3月1日となっていたので、1年遅れでの立法となりました。これは、売り手側への優遇税制です。 もう一つの優遇税制は、買い手側に対するものです。 M&A対価の70%損金算入の新制度の要件は次の内容です。・青色申告中小企業者が対象・経営力向上計画による取得・株式の取得価額10億円以下・投資損失準備金の計上・6~10年経過時準備金の取崩し・中小経営強化法改正が前提・令和6年3月31日まで適用

《コラム》労災保険特別加入の対象拡大

◆新たに3業種が追加 労災保険は事業に雇用されている労働者の業務上のけがや傷病を補償するものですが、災害発生状況の多い個人事業主に対しても加入が認められている特別加入制度があります。現在は中小企業事業主、建設業の一人親方、農林漁業の従事者、海外派遣者、個人タクシー業者、個人貨物運送業者等が特別加入の対象者ですが、4月1日より対象範囲が拡大されることになりました。 ◆新たに対象となる業種①芸能従事者……テレビや映画、舞台の俳優・監督・演出家・スタッフ・音楽家等。芸能従事者は業務上のけがや事故が多いことから特別加入の対象になることを強く希望していました。長年の議論によって認められることとなりました。②アニメ―ション制作従事者(アニメーター)……時代とともにアニメーション制作も増え、雇用されていない制作者が多くいることから対象となりました。③柔道整復師 厚労省ではこれら3業種の就労者は約29万人いるとみて、約1万5000人の加入を想定しているとのことです。 ◆創業支援等措置の高齢者も加入可能に 労災保険の特別加入の対象拡大は4月1日施行の高年齢雇用安定法改正(70歳までの雇用努力義務)によって新設された創業支援等措置の対象者にも適用されることになりました。 創業支援等措置は65歳から70歳までの労働者の就業機会を確保するための高齢者就業確保措置の1つで、雇用にはよらないため業務委託契約を締結する必要があります。企業側も措置の実施に関する計画書の作成、労働者代表者との同意が必要になります。 ◆特別加入をするには 労災保険の特別加入はそれぞれの業種の特別加入団体(中小企業は事務処理を委託する労働保険事務組合)を通じて所轄の労働基準監督署に手続きを行うことで補償を受けることができます。新しい業種の加入希望者は既存の団体に加入するか、新たに特別加入団体を設立することになります。

《コラム》控除可能期間が13年に延長 令和3年度住宅ローン控除の改正

◆対コロナの限定延長が全体に適用へ 令和3年税制改正で、住宅ローン控除が通常10年間適用のところ、13年間適用になりました。この適用を受けるには注文住宅の場合、令和2年10月~3年9月に契約したもの、分譲住宅等の場合、令和2年12月~3年11月に契約したもので、4年12月までに入居した住宅が対象です。 今回の改正では令和2年度には要件としてあった「新型コロナウイルス感染症の影響」は含まれていないので、契約・入居の期間と住宅ローン控除の要件を満たしていれば、消費税率上昇に対する経済対策として設けられた特例と同様、13年間の控除が受けられます。 ◆新設された40平方メートルのルール さらに従来「50平方メートル以上」だった床面積の要件が、「40平方メートル以上」に拡充されました。ただし、40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅については、合計所得金額が1,000万円以下の方のみ適用となります。 この新ルールでちょっと注意しなければならないのが、「床面積」の扱いです。床面積の算出方法には壁芯面積(壁の中心線から測定)と内法面積(壁の内側から測定)の2種類があります。分譲マンション等の場合、インターネットや販売チラシには壁芯面積の表示がされていることが多いため、広告では40平方メートルを超えているのに、住宅ローン控除適用要件である床面積を登記簿上記載の内法面積で見ると40平方メートルを下回る可能性もあります。内法面積が40平方メートルを超えないと住宅ローン控除が適用とはなりませんのでご注意ください。 ◆控除率1%が問題視されている? 今回の改正では、控除割合1%は従来と変わりませんでしたが、令和元年に出された会計検査院の指摘事項の中に「借入残高の1%を税額控除するのははたして妥当なのか。金利と比較すると恩恵を受けすぎている人が多いのではないか」といった指摘もあり、今後も低金利が続くようであれば控除割合の低下による制限が出てくる可能性もあります。今後の動きに注目です。

《コラム》がん免疫治療の医療費控除

 がん免疫療法は、人間の持つ免疫の力を利用してがんを攻撃するがん治療法ですが治療法の中には効果がまだ認められず、保険が適用されない自由診療となるものもあります。高額な医療費を支払った場合、医療費控除は受けられるのでしょうか。 ◆診療、治療のため通常必要な医療費 所得税法では、医療費控除の対象として「医師による診療または治療」、「治療または療養に必要な医薬品の購入」の対価のうち「通常必要と認められるもの」、「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」と規定しています。 判例では、眼の屈折異常を矯正する目的で眼鏡等を装用した際、医師の検査費用と眼鏡等の購入費用の医療費控除該当性が争われた裁判で「医療費控除制度は、治癒可能な心身の機能の低下を回復させるために必要となる医療上の経済的支出に対する課税上の調整措置である」と治癒を前提とした医療であることが判示されています。 がん免疫治療の場合、自身で選択した治療法が治療の効果が証明されていない自由診療であるとしても、そこに一定の効果が期待され、医師の診断にもとづき治療が行われているのであれば、「治癒可能な心身の機能低下の回復」を目的とする医療行為に該当し、医療費控除が適用されるのではないでしょうか。ちなみに丸山ワクチンの購入費用は、主治医の判断の下、主治医により治療が行われることから、医師等による診療を受けるため直接必要な費用として医療費控除の対象となる旨の判示があります。 ◆疾病予防と健康増進の医薬品は除外される 所得税通達では、薬機法に規定する医薬品が医療費控除の対象とされますが、医薬品に該当しても疾病予防と健康増進のみに使用されるサプリメントは医療費控除の対象とされません。 判例では、健康補助食品である漢方薬が医薬品でないこと、また医薬品に該当する漢方薬に治療・療養の必要性を認めず医療費控除が適用されなかったものがあります。 ◆治療法の選択には慎重な検討を! 医療費控除が適用されるとしても自由診療で免疫療法を受ける場合は、治療効果、安全性、費用の負担をよく検討した上で慎重な対応が求められます。担当医とよく話し合いましょう。また国立がん研究センターや地域拠点病院の相談窓口で免疫療法の情報を取得し、相談することもできます。

《コラム》配偶者手当の見直しについて

◆配偶者手当の見直し検討を 成果主義が言われ始めたころから、基本給に加えて支給される各種手当の見直しが行われるようになりました。特に配偶者手当については、女性活躍や同一労働同一賃金、雇用の多様化などの影響により、廃止する傾向は進むと思われます。 配偶者手当は、パートタイム労働で働く配偶者の就業調整の要因として指摘されています。これによって賃金相場の上昇が抑制され、あるいは女性の能力を十分に発揮できないなどの影響があり、企業が人的資源を十分に活用できない状況をもたらしているとされます。 その状況を改善するため、厚生労働省は、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう配偶者手当の見直しを進めることが望ましいとし、参考となるリーフレットの改定版を公表しました。(配偶者手当の在り方の検討に関し考慮すべき事項 (mhlw.go.jp)) ◆手当見直しのポイントと事例 廃止する場合の具体的な事例としては、該当額を基本給に組み込む、子供・障害者を対象とした手当を創設するなど、人件費総額を維持した事例があります。また2~3年ほどの経過措置期間を設けて、徐々に減額していく、あるいは賞与で補填するなどの対応を行った企業もあります。企業個別の事情に則った検討が必要ですが、ポイントとしては、①ニーズの把握など従業員の納得性を高める取組、②労使の丁寧な話合い・合意、③賃金原資総額の維持、④必要な経過措置、⑤決定後の新制度についての丁寧な説明、があげられます。 見直しを行うにあたっては就業規則の変更となりますので、その変更に合理性があるかどうか、必要な手続についても考慮しましょう。 手当の見直しは従業員の収入に直結する話ですので、労使間の丁寧な話合いが求められます。また、配偶者手当だけではなく、給与制度全体を見直す機会にするのもよいでしょう。 相談先としては、都道府県労働局や働き方改革推進支援センターに窓口があります。

《コラム》リモートワークでの人事評価

◆改めて人事評価の基本を リモートワークが推進される中、決算期を迎える企業では、人事評価の時期が近づいてきていると思います。部下の姿が見えない中で、どのように評価を行えばよいのか、とまどっている管理職も多いと思われます。 一方で、部下の姿が見えないからこそ、仕事の成果や組織への貢献そのものに着眼して評価を行える状況ともいえます。これを機会に、管理職に対して、改めて評価基準や適正な評価方法を徹底しましょう。 一般にいわれる陥りやすい評価エラーとしては、ハロー効果(ある部分だけを見て全体を評価してしまう)や、近接誤差(評価時期に近い出来事を過大に評価してしまう)などがありますが、リモートワーク下において特に気を付けるべきは、以下の2つと考えられます。<中心化傾向> 複数人に対して評価を行った際、優劣の差がつけられず標準評価によってしまうこと。評価対象の部下についてよく理解していない場合に起こりやすい。<論理的誤差> 「後輩の面倒見がよい人間は、リーダーシップもとれている(だろう)」など、関連がありそうな項目について、類似した評価をしてしまうこと。具体的な事実やデータを重視せず、評価者の頭の中だけで考えてしまうと起こりやすい。 ◆評価エラーを回避するために 前述の2つの評価エラーは、部下が仕事をしているプロセスが見えにくいことによって発生しやすいと考えられます。これらを回避するために、まずは評価基準に照らして、評価すべき具体的な事実や対象を見定めましょう。オンラインの利点は、メールなど文字での記録が残るため、あとから事実確認をしやすいということがあります。 やはり、部下とのコミュニケーションも大切です。結果だけではなく、そのプロセスを確認しましょう。どのようなことを考え、工夫したか。誰と協働して、どういった困難があったか。評価は、能力開発の機会でもあります。面談を制度化していない場合には、ぜひ対話の時間をとって、今後期待することも話してみてください。

《コラム》リモートワークで気を付けたい リモハラとは

◆リモートハラスメントとは 新型コロナウィルス禍で定着してきたリモートワーク。仕事のやり取りがチャットやメール、Zoom等のビデオ会議になり相手への伝わり方が、対面より厳しくなったり冷たくなったりと感じる傾向があります。 リモートワークが進むにつれ、「リモートハラスメント」(リモハラ)が社会問題になりつつあります。リモハラとはリモートワーク中に起こるハラスメントを指し、業務中に起きるパワハラとセクハラのいずれかに当てはまる発言等をいいます。 例えば上司からオンライン会議に映った部屋の中のこと、服装や化粧のこと(程度の問題はあるが)、子供の声のこと等プライベートに関わる質問等、また、常に仕事をしているかの連絡や確認、やたらWeb会議をしたがる等があり、全てが法的なハラスメントに該当するわけではありませんが、リモートワークに付随する上司の過剰な干渉がリモハラと感じさせているようです。 ◆リモート業務に上司も悩んでいる リモート業務にストレスを感じているのは部下ばかりではなく、アンケートでは5割の管理職がリモート下で部下とのコミュニケーションで悩んでいるそうです。部下との距離感や指示出しのタイミング等、対面では気を使わなくてもよい場面でも悩んでいます。会社から部下とのコミュニケ―ション強化を言われても、ハラスメントと言われるのが怖く指示を出しにくいということがあります。上司にとってはリモートに伴う業務管理の不安やITツールに不慣れな人もいる中でストレスを引き起こしています。若手達からWeb会議から締め出しをされたケースも耳にします。録画機能があるツールの場合、事前に周知して言葉に気を付ける等注意する必要もあります。 ◆生産性とハラスメント対策の両立 リモートワークの急速な導入は便利でもありますがストレスを感じる面も多くあります。そのことがハラスメントにつながる場合があると言えます。同じ行動・対応でも世代間ギャップがあることを認識しておき、上司の許可や報告が必要な事項はリモートワークルールで取り決めましょう。 ルールは監視強化等厳しくしすぎないこと、プライベートには立ち入りすぎないこと、不満の声には耳を傾ける等、ストレスを減らしコミュニケーションを円滑に進める環境を目指すのがいいでしょう。

《コラム》押印不要の書類が増えています

 菅内閣は脱ハンコ、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を進めています。これに伴い、税務書類についても押印が不要となる書類が増えてきました。 ◆税務署窓口における押印の取扱い 令和2年12月21日に「令和3年度税制改正の大綱」が閣議決定され、この中で、税務関係書類(国税に関する法律に基づき税務署長等に提出される申告書等)の押印の見直しが行われました。提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、一部の税務関係書類を除き、押印を要しないこととする方針が示されました。そして、この取扱いは原則として令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用する予定となっていましたが、一方で「改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めない」ともされていました。 この閣議決定に基づき、全国の税務署窓口においては、本件見直しの対象となる税務関係書類について押印がなくとも改めて求めないこととしています。  ◆振替納税やダイレクト納付の手続も 従来、振替納税やダイレクト納付をしようとする場合には、それぞれ「振替依頼書」や「ダイレクト納付利用届出書」に金融機関の届出印を押印する必要がありました。これらの手続も令和3年1月から、個人の方の振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書をe-Taxで提出することが可能となりました。 さらに、振替依頼書等のオンライン提出においては、金融機関の外部サイトにより利用者認証を行うので、電子送信時に電子署名及び電子証明書の添付も不要となります。 ◆押印が必要な書類も とはいえ、担保提供関係書類・物納手続関係書類の一部や遺産分割協議書、特定個人情報の開示請求、閲覧申請手続など、押印が必要な書類もまだまだありますので注意しましょう。

《コラム》自転車通勤ルールの策定

 コロナ禍の下、自転車通勤が増えています。自転車通勤は手軽に始められますが、通勤中に事故でケガをした場合、通勤災害になるのか、または、相手にケガをさせてしまう場合の損害賠償はどうなるのか? 自転車通勤を認める場合は、様々な状況を考慮して規程などルールを定めておくことが大切です。 ◆通勤災害とは 通勤途上の事故の場合、通勤災害か否かが問われます。通勤災害とは、労働者が通勤により被った負傷、疾病、傷害又は死亡を言います。しかし、どんな場合でも通勤災害になる、というわけではなく、労災法では「通勤」とは「就業に関して」次の3点で定義しています。(1)住居と就業場所との間の往復(2)複数の異なる事業場で働く労働者が一つ目の事業所から次の事業所へ移動する場合(3)(1)、(2)の往復の前後に、厚生労働省で定める要件に該当する場所への立ち寄りは可(3)は、転任に伴い家族と別居していて、家族の住居から事業所に行く場合や、要介護状態の父母や親族の介護のために自宅でないところからの通勤などです。通勤の途中で、買い物など日常生活に必要な行為、やむを得ない事由による立ち寄りは、その行為の間(逸脱、中断といいます)は除き、通勤となります。ちなみに、通勤途中で会社の荷物を届けるような場合は、通勤災害ではなく業務災害となり別途対応が必要となります。 ◆自転車損害賠償責任保険への加入 自転車でのケガを防ぐために、必ずヘルメットの着用を義務付ける、前照灯やベルなど安全にかかわる装備が正しく装着されていて、整備された自転車であること、安全な乗り方は当然として、駐輪場の確保なども確認が必要です。そして、何より、自転車損害賠償責任保険等に加入していることの確認が重要です。昨今の自転車事故の多発と裁判での高額な賠償金の支払い命令が出ていることで、多くの自治体が条例で自転車保険加入を義務化しています。自動車保険特約加入も含め、書類の提出などで保険加入を確認しましょう。

《コラム》中小企業にも『同一労働同一賃金』が適用(令和3年4月~)

◆中小企業にも『同一労働同一賃金』適用 令和3年4月より、中小企業にも『同一労働同一賃金』が適用されます。 大企業には令和2年4月から適用され、中小企業には1年間猶予されていました。 そもそも、同一労働同一賃金とは何でしょうか? 文字通りに解釈すれば、同じレベルの労働に同じレベルの額の賃金を支払うことと読めます。 しかし、法的には正規雇用労働者(正社員)と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。  従って、正規雇用労働者(正社員)間の待遇差については、対象外となります。 ◆『同一労働同一賃金』に関する法改正 同一労働同一賃金に関して改正される法律は、「労働契約法」と「パートタイム・有期雇用労働法(以下、パート有期法)」です。 具体的には、労働契約法20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)が廃止され、パート有期法8条(均衡待遇)と同法9条(均等待遇)に引き継がれることになりました。 ◆『同一労働同一賃金』で求められること パート有期法では、①職務の内容と②職務の内容・配置の変更の範囲が同じであれば、差別的な取扱いが禁止され、均等待遇が求められます。一方、①と②に差がある場合でも、さらに③その他の事情を考慮して均衡(バランス)のとれた待遇、即ち均衡待遇が求められます。 なお、派遣労働者については、大企業と同じく令和2年4月から、賃金の決定方法に「派遣先均等・均衡方式(派遣先ベース)」と「労使協定方式(派遣元の労使協定ベース)」のいずれかを採用しなければならないことになっています。 他には、非正規雇用労働者に正規雇用労働者との待遇差について説明を求められた場合の説明義務が強化されます。また、均衡待遇や待遇差の説明に関する紛争は、都道府県労働局の管轄となり、裁判外紛争解決手続(行政ADR)の対象となります。