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【時事解説】在宅勤務定着によるオフィスの変化とは その1

 テレワークが定着する中、東京の拠点を縮小、移転する企業が増えています。インターネットサービスのヤフーは東京の拠点を約4割減らすと発表しました。ほかにも、DeNAやデロイトトーマツグループなど、東京本社の移転や縮小を実施する企業が散見されるようになりました。

 なかでも、IT企業は、従業員の中に占めるITエンジニアの割合が多いこと、さらには基幹業務に関する統合システムの構築が進んでいるといったことから、リモートで仕事ができる環境が整っています。リモートで仕事をするのならば、社員が集まるためのオフィスは必要ないと考えるのもうなずけます。賃貸で入居している企業の場合、オフィスを縮小することで賃料を減らすことが可能になります。ヤフーでは年間数十億円もの賃料が削減できるといわれています。

 拠点を縮小する企業が増えた結果、東京や大阪を中心に、オフィスビルの空室率が上昇しています。上昇のペースはやや鈍化しているといわれていますが、依然、空室率は上昇傾向にあります。また、東京ではオフィス賃料の下落も続いています。7月の時点で、都心の賃料は12カ月連続で下落しています。コロナ禍の前まで、賃料がもっとも高かった渋谷区では前年よりも約1割程度、下落しています。渋谷区はIT企業に人気が高い地域で、テレワーク対応が早い企業が多いことから、打撃も大きいと考えられます。

 ただ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束に向かった後はテレワークをやめる方針を打ち出している企業もあります。今後、オフィスの動向がどのように変化するか、注目したいところです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)