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【時事解説】健康寿命とともに注目度が増すフレイルとは? その1

 近年、糖尿病や動脈硬化などの成人病に対しては、医学の発展により解決方法がみえつつあります。癌も同様、以前よりも治療で治せるようになりました。不治の病の克服もあり平均寿命は伸びました。厚生労働省によると、2020年の日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性は81.64歳です。2010年の女性86.39歳、男性79.64歳と比べると、女性は1.35歳、男性は2歳ほど伸びています。今後も平均寿命は延伸すると見込まれており、2060年には女性の平均寿命は90歳を超えるともいわれています。

 寿命が延びる中、長生きするだけではなく、健康で幸せに生きることが重要だという考えが強まり健康寿命が重視されるようになりました。その中、「フレイル」にも注目が集まるようになりました。

 フレイルというのは、加齢で心身が虚弱状態に陥ることを指します。介護が必要なほどではなく、介護のひとつ手前の状態ともいえます。具体的には、物覚えが悪くなった、長時間歩き続けられない、長い時間立ち仕事をすると膝が痛む、さらには、耳は聞こえるがテレビの音が聞こえづらいといった症状が該当します。

 フレイルは放置すると要介護状態に進むものもありますが、早期発見し適切な介入支援を行えば健康の状態に戻るものもあります。いち早く、フレイル状態を検知することに大きな意義があります。こうした特性から、最近ではフレイル専門のドックが誕生しています。

 また、自治体によっては、高齢者の聴力低下に対する早期発見に力を入れているところもあります。ある自治体では無料で聴力検査を実施して、聴力低下がみられる高齢者には耳鼻科の受診や補聴器の使用などを促し、フレイルのリスクを低減しようとしています。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)