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【時事解説】中小企業における金融機関への期待 その1

 感染症流行による事業環境の変化を踏まえて、中小企業において金融機関に対する支援の期待が高まっています。
 そこで中小企業庁編「中小企業白書2021年版」において実施したアンケート調査(東京商工リサーチ「中小企業の財務・経営及び事業承継に関するアンケート」)に基づき、感染症拡大前後のメインバンクからの提案・支援に対する期待などについてみていきましょう。

 まず、金融機関からの借入れがある企業の、メインバンクに対する評価についてみると。融資に関する提案、融資以外に関する提案のいずれの項目についても「やや不満」、「不満」と回答した企業の割合は非常に少なくなっています。一方で、融資以外に関する提案について、「満足」及び「やや満足」と回答した企業の割合の合計は、融資に関する提案と比べると低くなっています。
 つぎに、感染症流行前にメインバンクから受けた提案・支援と、今後受けたい提案・支援についてみると、今後受けたい提案・支援としては、「特に当てはまるものはない(48.8%)」の割合が最も高いものの、それ以外では「ビジネスマッチング(18.2%)」、「M&Aマッチング(13.9%)」、「人材面の支援(11.9%)」の順に高くなっています。また、上記の項目に加え、今後受けたい提案・支援として「業務効率化の支援」、「経営計画策定の支援」、「デジタル化支援」、「技術開発支援」と回答した企業の割合は、感染症流行前に受けた提案・支援として回答した割合よりも高くなっています。

 このように感染症流行を受けて、中小企業が今後の経営戦略を検討するうえで、金融機関に対する資金繰り以外の支援に対する期待が高まっているのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)