Column

《コラム》M&A経営力向上計画申請

◆経営力向上計画策定の手引き 令和3年度税制改正の「経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)」が施行されたのに合わせて、中小企業庁は、「経営資源集約化税制の活用について」につづき、「経営力向上計画策定の手引き」を公表しました。 ◆支援機関のサポートで計画策定 「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画で、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。 また、計画申請においては、認定登録経営革新等支援機関としての専門家のサポートを受けることが予定されていて、経営診断ツールにより計画策定ができるようにもなっています。 ◆認定を受けられる経営力向上計画 事業分野を所管する省庁が作成した、事業分野別指針が用意されています。申請者は、その指針を踏まえて、案内されている、「経営力向上計画 申請書作成の手引き」その他を参考にしながら、記載例に従って経営力向上計画を策定します。 経営状況を書くところは、ローカルベンチマークの算出結果を記入するようになっているので、経済産業省のホームページにあるローカルベンチマーク(ロカベン)シートをダウンロードすることになります。 ◆申請にはDDチェックシートの添付が必須 経営力向上計画申請には、事業承継等事前調査(デューデリジェンス)チェックシートを添付しなければなりません。 法務に関する事項(弁護士実施)と財務・税務に関する事項(税理士・公認会計士実施)とは絶対必要デューデリとされています。ITコーディネーターや中小企業診断士等のコンサルタントのデューデリを必要に応じて実行することもあり得ます。 ◆申請はオンラインで 経営力向上計画申請プラットフォームで電子申請が可能になっています。令和4年4月からは、完全電子化となります。 経営力向上計画申請プラットフォームから電子申請するには、GビズIDを事前に取得しておく必要があります。 GビズIDプライムアカウントの発行には、2週間程度要するとされています。

《コラム》パートの社保加入の影響と企業の対応

◆2022年10月から社会保険適用拡大 今まで対象外だった企業・社会保険の適用対象者が拡大されます。改定ポイントは①以前より小規模な企業(従業員数が常時100人超)も対象になる②勤務期間が短い(2か月超)労働者も対象になる 現行では人員規模が500人超企業が対象でしたが、規模が100人超に引き下げられ、さらに2024年10月には50人超に引き下げられます。企業規模の従業員数とは社会保険の被保険者数で判断します。 人数は月ごとに数え直近12か月のうち6か月で基準を上回ると対象事業所です。 また、短時間労働者の範囲は1年以上雇用の方が対象でしたが、2か月を超えて雇用していれば対象になります。 ◆現行の短時間労働者の社会保険適用要件 社会保険の加入要件を満たす労働者とは①週の所定労働時間が週40時間(フルタイム勤務)の労働者②所定労働時間がフルタイムの4分の3以上(多くは30時間以上)労働者が加入者とされていました。2016年4月より従業員が一定数(500人)を超える企業の短時間労働者にも適用されるようになりました。2022年10月から100人超企業とされ雇用期間も2か月を超えて雇用すれば対象となります。今から準備が必要でしょう。 短時間労働者の適用条件は、①所定労働時間が週20時間以上あること②雇用期間が1年以上であることが見込まれること(2022年9月まで)③賃金月額が88,000円以上であること ◆企業への影響と対応策 企業において大きな影響は社会保険料の負担増加です。月額10万円のパートが10名いたとして新たに負担となるのは年額で約185万円です。費用を早めに考えて計画しておく必要があります。この先加入となる労働者に対して、対象者になることを説明する必要があります。半年前など早い段階からの説明が良いでしょう。加入を希望しない方には労働時間の変更が必要です。又は社員転換等雇用形態の変更もあるかもしれません。従業員から見れば将来の年金額が増えメリットと感じる方もいるでしょう。会社全体の人員配置の見直しが必要になるかもしれません。

《コラム》事業承継・引継ぎ支援センター

◆事業承継・引継ぎ支援センターを覗こう M&Aに興味のある人や、人生100年時代で模索している退職後の人や、サイドビジネスを探している人や、会社の次のステップを睨んでいる経営者などなど、国営の事業承継・引継ぎ支援センターを覗いてみては、いかがでしょうか。 もちろん、廃業や継承者不在、倒産の心配で悩んでいる人については、是非とお勧めします。 何か、新しい出会いに遭遇するかもしれません。 ◆事業承継・引継ぎ支援センターとは 事業承継・引継ぎ支援センターは、全国47都道府県に設置され、円滑な事業承継・引継ぎのための助言、情報提供及びマッチング支援、研修、広報活動を行っています。 中小企業のM&A支援の実務に精通した専門家が秘密厳守で、無料にて、相談に応じている、と広報されています。 民間のM&A機関を活用してM&A実行中のケースに対し、セカンドオピニオンの役割も担う、とも言っています。 ◆ホームペーシの案内によると 事業承継・引継ぎ支援センターのホームページを覗くと、第三者承継支援(M&A)、親族内承継支援(MBOや傍系親族承継)、後継者人材バンク(創業目的個人による創業承継)、経営者保証に関する支援(経営者個人連帯保証解除、経営者個人居宅に設定の連帯保証抵当権設定解除)を参考項目として挙げています。 民間M&A機関がターゲットにしない、小規模企業に関わる案件や相談を相対的に多く担っています。件数も、2020年では、年間3~4千件のうちM&A大手3社計760件に対し、事業承継・引継ぎ支援センター1379件との記載があります。 ◆民間M&Aの企業や有識者との連携 昨年末からは、民間M&Aプラットフォーマーとの連携に舵を切り、事業承継・引継ぎ支援センターの相談者情報とプラットフォーマーの顧客情報の相互乗り入れに踏み出しています。 その上で、最近は、優秀なM&A支援人材や経営者OB人材を全国的に公募しています。同時に、M&AのFAや金融・税務・法務等やDBに係るITの専門的な知見のある実務経験者の出向を全国公募により民間企業等から受け入れています。 自力強化と連携強化を図っています。

《コラム》令和3年年末調整 変更点と誤りやすい点

◆印鑑不要になった! 年末調整は、給与を受ける人それぞれについて、原則毎月の給与や賞与などの支払いの際に源泉徴収した税額と、その年の給与の総額について納めなければならない年税額とを比べて、その過不足を精算する手続です。今年は去年と比べると所得税計算本体への改正はないものの、手続的な部分での改正がありました。 「押印義務の改正」により、源泉所得税関係書類については、押印を要しないこととされました。このため、扶養控除等申告書などの年末調整の際に使う書類についても、従業員の皆さんに押印をしてもらう必要がなくなりました。地味ですが手間の省ける改正ですね。その他、源泉徴収関係書類を電磁的に提供する場合の、給与等の支払者が受けるべき税務署長の承認が不要とされたため、従来は税務署に提出が必要だった「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」が不要となりました。 ◆令和2年改正部分に注意 今年の年末調整に目新しい変更はないものの、令和2年に改正が行われた「所得調整控除」「寡婦・ひとり親控除」「基礎控除」には注意が必要です。 所得調整控除は給与収入が850万円超の方が対象で「配偶者の扶養している子供でも、所得調整控除は両方の親に対して行える」点に注意しましょう。寡婦・ひとり親控除は令和2年から適用条件が変更されて「所得金額500万円以上の方は一律無効」となりました。基礎控除は「給与以外の所得も含めて、合計所得2,400万円超で逓減が開始」です。 新しいルールのため、細かい条件を取り違えて計算している例が散見されます。今年も注意して計算をしましょう。 ◆電子化のメリットも考えて 計算式や控除上限等の変更、そして紙の記載フォーマットの変更と、年末調整は過去と比較すると明らかに複雑化しています。 従業員が控除額を計算して、会社の担当者が検算をするだけでも一苦労ですから、従業員数の多い企業には特に電子化をお勧めしたいところです。

《コラム》テレワークの労働時間管理

◆テレワークでも労働時間の考え方は同じ 基本的には以前と同じ労働時間制度を使うようになるでしょう。1日8時間、週40時間制のスタンダードで固定的な労働時間制を敷いていたならそのままでよいし、今までフレックス制度や裁量労働制を適用していたら導入後もその制度を適用してもよいのです。ただ、通勤時間がなくなるとこれらの制度は変更される場合があるでしょう。 ◆テレワークの勤怠管理 労働時間管理では「テレワークの勤務開始と業務終了が把握しにくい、休憩時間がとりにくい」などを懸念する場合があるかもしれません。ルール決めをしておけば勤務中か離席かわかりやすくなります。①始業時業務開始時に「業務を始めます」という開始報告メール、チャットツール、電話等所定の方法で行います。②休憩時休憩開始時に「休憩に入ります」という報告メールをします。③休憩終了時休憩終了時に「休憩終了します。業務に戻ります」というメールをします。④業務終了時業務終了時に「業務を終了します」という終了報告をメールでします。 近年は社員が勤怠打刻をスムーズに行えるようなクラウドのシステムもあります。 ◆中抜け時間の取り扱い 在宅勤務で子供の送迎があったり病院などへ連れて行ったりと、私用で就業中に外出等があった場合は賃金支払いの対象外ですが、賃金カットでなく、始業終業の繰り上げ繰り下げで1日の所定労働時間は満たすことを認めている企業も多いようです。中抜けの際も連絡メールするようにルール決めは必要です。 ◆時間外労働の取り扱い 在宅勤務では長時間労働になりやすい要素があります。夕食後に仕事を再開したり休日でも仕事をしたり、オンとオフの区別がつきにくくなりがちです。目に見える成果を上げたいと頑張って長時間になる場合もあるようです。このため一定のルール(時間外にメールの送受信を控える、アクセスの制限、残業の申請等)が必要になるでしょう。従業員の健康面と割増賃金のコストに留意しましょう。

《コラム》免税会社の適格請求発行事業者 登録のタイミング

◆取引からはじき出されないための登録? 2021年10月1日から「適格請求書発行事業者の登録申請」が始まっています。2023年10月1日から消費税の仕入税額控除方式が、「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)」となるためです。 消費税で仕入税額控除を取るためには、適格請求書(インボイス)が必要であり、適格請求書を交付することができるのは、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」に限られます。適格請求書発行事業者となるためには、消費税の課税事業者となって、発行事業者登録をしなければなりません。 免税事業者からの仕入税額控除に関して、6年間の経過措置はありますが、経過後は、インボイスを発行できない免税業者からの商品やサービスの購入では仕入税額控除が取れないため、取引の相手先として選ばれなくなる可能性が高いです。仮に選ばれたとしても、消費税額分の値引きを要求される可能性もあります。 ◆登録すべきかどうかは経営面から検討する 消費税先進国の欧州でもそうですが、インボイスを発行できない事業者から仕入れを続けると自社が負担する消費税額が増えるため、免税業者は敬遠されがちです。よほど優位性がある商品やサービスでない限り、取引の相手先から外されかねません。 この適格請求書発行事業者となるか否かの選択は、経理の問題よりも、むしろ、ビジネスの経営面から考えるべきものです。 登録を決めた場合、2023年10月1日のインボイス制度開始と同時にインボイスの発行をするためには、2023年3月31日までに申請しなければなりません。 ◆「登録における経過措置」利用がおススメ 免税事業者が適格請求書発行事業者となるためには、先に課税事業者登録をしなければなりません。しかしながら、ここにも経過措置があり、2023年10月1日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、「消費税課税事業者選択届出書」の提出は不要です。何月が事業年度末月かにもよりますが、同じ事業年度内で、2023年9月30日までは免税事業者、10月1日から課税事業者となることもできます。また、「簡易課税制度」で、納税額が少なくなるようでしたら、その適用も検討してみるべきです。

【時事解説】在宅勤務定着によるオフィスの変化とは その2

 テレワークが定着したことで、東京の拠点を縮小、移転する企業が増えています。そんな中、シェアオフィスやサテライトオフィスの設立など、オフィスについて企業独自の形態を模索する動きがみられます。  シェアオフィスを活用する企業について、一例を挙げるとDeNAがあります。従来、本社のオフィスには2800程度の席がありましたが、700席程度まで縮小しました。そのうえで、シェアオフィス「WeWork」を活用しています。ほかにも、ニュースアプリのGunosyや、料理レシピのクックパッドなど、シェアオフィスを活用する企業が増えています。 シェアオフィスはプランにもよりますが、契約すると、シェアオフィスの会社が運営する拠点を自由に利用できるようになります。自宅で仕事をする環境が整っていない従業員については、自宅近くのシェアオフィスを利用することで、快適に仕事をすることができるようになります。 また、一般的に営業は顧客に訪問するだけでなく、オフィスで行わなければならない作業が多数あります。顧客との商談後、営業先近くのシェアオフィスに立ち寄り作業を終わらせれば、社内に戻らなくても必要な作業を短時間で済ますことができます。  サテライトオフィスを置く企業も増えています。従業員の自宅近くだけでなく、リゾート地に設置する企業もあります。従業員は自由にサテライトオフィスを利用できるので、自宅近くのオフィスやときにはリゾート地の近くのオフィスで働くといったことが可能になります。 出社し、自分の席に座って仕事をするといった働き方から、自由に、好きな場所で働くことが当たり前といった企業が増えつつあります。(了) (記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】在宅勤務定着によるオフィスの変化とは その1

 テレワークが定着する中、東京の拠点を縮小、移転する企業が増えています。インターネットサービスのヤフーは東京の拠点を約4割減らすと発表しました。ほかにも、DeNAやデロイトトーマツグループなど、東京本社の移転や縮小を実施する企業が散見されるようになりました。  なかでも、IT企業は、従業員の中に占めるITエンジニアの割合が多いこと、さらには基幹業務に関する統合システムの構築が進んでいるといったことから、リモートで仕事ができる環境が整っています。リモートで仕事をするのならば、社員が集まるためのオフィスは必要ないと考えるのもうなずけます。賃貸で入居している企業の場合、オフィスを縮小することで賃料を減らすことが可能になります。ヤフーでは年間数十億円もの賃料が削減できるといわれています。  拠点を縮小する企業が増えた結果、東京や大阪を中心に、オフィスビルの空室率が上昇しています。上昇のペースはやや鈍化しているといわれていますが、依然、空室率は上昇傾向にあります。また、東京ではオフィス賃料の下落も続いています。7月の時点で、都心の賃料は12カ月連続で下落しています。コロナ禍の前まで、賃料がもっとも高かった渋谷区では前年よりも約1割程度、下落しています。渋谷区はIT企業に人気が高い地域で、テレワーク対応が早い企業が多いことから、打撃も大きいと考えられます。  ただ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束に向かった後はテレワークをやめる方針を打ち出している企業もあります。今後、オフィスの動向がどのように変化するか、注目したいところです。(つづく) (記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》遺贈寄附という選択

 いつか自身に起きる相続。これまでの人生を振り返り、生きた証として財産を社会に貢献する事業に役立てたい、そんな思いを伝える手段の一つが遺贈寄附です。 ◆遺言による遺贈寄附と相続財産の遺贈寄附 遺贈寄附とは、国や地方公共団体、公益法人等に、財産を遺言で贈与すること、及び、被相続人の生前の意思を引継いだ相続人が、相続財産を贈与することをいいます。 ◆遺贈寄附の手続き まずは遺贈先の選定です。新聞、雑誌、TVの報道、ネット情報から社会貢献する団体の活動に触れて支援する法人を探します。 紛争地帯で医療や住居などを支援するNPO法人は、寄附先としてお馴染みですが、最近は博物館や地方自治体の動物園など、親しんだ団体に遺贈する人もいるようです。 寄附は現金のみ受付し、不動産は売却、換金したうえで遺贈を求める団体が多数ですが、不動産を受け入れる団体もあります。 遺贈先が決まったら、遺言執行者を選定して遺言書を作成します。税理士をはじめ、弁護士、司法書士、行政書士など専門家に相談しましょう。遺言は公正証書遺言、または自筆証書遺言を選択できます。 ◆不動産等の遺贈は譲渡所得課税に注意! 土地や建物、株式など譲渡所得の基因となる財産を法人に遺贈した人には、その財産の取得から遺贈時までの値上り益に譲渡所得税が課されますが、国税庁長官に申請して承認を受けた場合は非課税となります。 ただし、遺贈した人の所得税の負担や、遺贈した人の親族のほか特殊関係人の相続税、贈与税の負担を不当に減少させる場合には、非課税承認は取り消され、遺贈した人、又は遺贈先の法人に譲渡所得税が課されることになるので注意を要します。 また、相続人が被相続人の意思を引継ぎ、相続財産を国や地方公共団体、公益法人等に贈与する場合にも相続税を非課税とする制度があります。この場合も不動産等の贈与について譲渡所得税を非課税とするには、国税庁長官の承認が必要です。 ◆相続人の遺留分にも配慮を忘れない! 社会の高齢化が進むなかで遺贈寄附の希望者も増えていくのではないでしょうか。ただし、相続財産には遺留分があります。遺贈寄附を決めるときは、相続人の遺留分にも配慮して後でトラブルが生じないよう検討することを忘れないようにしましょう。

《コラム》消費税の課税の対象 宇宙空間にある人工衛星の譲渡

◆民間宇宙ビジネスは急成長分野 米企業家のイーロン・マスク氏が設立したスペースX社は、民間企業の製造・所有する宇宙船を用いて、初の国際宇宙ステーション(ISS)への有人飛行に成功しました。人工衛星の打上げ費用も2億ドルはかかると言われていた時代から、近年では6,000万ドルまで削減。ホリエモンこと堀江貴文氏も「世界一低価格で便利なロケット」の開発を目指すと、宇宙ビジネスに参入しています。動向が非常に気になる事業分野となってきましたね。 ◆20年前に人工衛星の消費税の取扱い?! 税理士が用いる判例データベースTAINSには、判例・条文の他、情報公開法に基づく開示請求により入手した様々な行政文書 が掲載されています。これを見ると、たまに面白いものに当たることあります。 今回は、平成12年の国税庁の消費税課の資料で「人工衛星の輸入、打上げ、宇宙空間における譲渡」を取り上げましょう。 内容は、外国法人A社が保有する人工衛星を、日本法人B社を輸入者として日本に輸入。その人工衛星の打上げを委託された日本法人C社が日本から衛星を打上げ。その後、衛星が宇宙の軌道に乗ったことを確認後、A社からD社に人工衛星を譲渡したというシチュエーション。これら①輸入・②打上げ・③宇宙空間における譲渡の消費税の取扱いが記されています。 ◆宇宙空間にある人工衛星を譲渡したら? それぞれの取扱いは、次のように示されています。①人工衛星の輸入取引 輸入名義人のB社の仕入税額控除となる。②人工衛星の打上げを受託した場合 非居住者(外国法人A社)の依頼により行う人工衛星の打上げは、非居住者に対する役務の提供に該当し、輸出免税となる。③宇宙空間にある人工衛星の譲渡 消費税法上、国内とは「この法律の施行地」をいい、宇宙空間はどの国の主権も及ばない区域である。衛星が宇宙の軌道に乗ったことを確認した後に行われる人工衛星の譲渡は、資産の譲渡が行われた時に資産が国外に所在するため、国内取引に該当せず、日本の消費税の対象とならない。