Column

《コラム》新型コロナウイルス感染症に係るワクチン職域接種の税務

 国税庁は、コロナワクチンの職域接種に係る税務上の取り扱いをFAQで公表しています。 ◆法人税の取り扱い 企業が新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの職域接種を行う場合、市町村からワクチン接種に係る業務の委託料の支払いが行われますが、接種会場施設の使用料、接種会場での備品のリース費用、接種会場での臨時スタッフの人件費など、これらの費用が市町村から支給される委託料を上回るケースも考えられます。これらの費用は、社内の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止し、今後の業務遂行上の著しい支障の発生を防止するものですので、企業の業務遂行に必要な費用の負担と考えられ、法人税法上の寄附金又は交際費等には該当しないこととなります。 職域接種の対象に、従業員と同居する親族、関連会社の従業員等、取引先の従業員等、接種会場の近隣住民を追加する場合であっても、この取り扱いは同じです。 ◆所得税の取り扱い 上記の職域接種にかかる費用が、その接種を受けた従業員に対する給与となることもありません。接種を受けた者が従業員以外の者であっても、所得税の課税対象となることはありません。 また、接種会場までの交通費を支給する場合については、職務命令に基づき出張する場合の「旅費」と同等と考えられますので、接種会場への交通費として相当な額であれば非課税となります。 さらに、役員及び従業員についてデジタルワクチン接種証明書の交付の費用を企業が負担した場合、業務遂行上必要であると認められるときは、その取得費用の負担は従業員に対する給与に該当しないとしています。 ◆消費税の取り扱い ワクチンの接種事業に関し、市町村と医療機関との間で委託契約を締結し、市町村から医療機関に対し委託料が支払われます。この委託料は「ワクチンの接種事業」を行うという役務の提供の対価であり、消費税の課税対象取引となります。

《コラム》資産移転の時期の選択に中立的な税制

 相続税と贈与税は、それぞれの税率に差異があるため、いつ財産を移転するかで税の負担に違いが生じます。生前贈与の動機ともなりますが、近い将来、この相続税・贈与税の制度は変わるかもしれません。 ◆欧米は、資産の移転時期の選択に中立的 欧米では、財産の移転について相続時にまとめて課税する方式をとっています。米国では、一生涯の累積贈与額と相続財産額に一体課税し、ドイツでは相続前10年間、フランスでは15年間の累積贈与額と相続財産額に一体課税します。 税率は、贈与税・相続税で共通のため、米国では生涯にわたる税負担が一定となり、同様にドイツでは10年間、フランスでは15年間、税負担が一定となります。これらの国では、資産の移転時期の選択に中立的な税制となっています。 ◆日本は、有利不利が生じる税率構造 これに対し、日本では贈与税と相続税は別体系で課税されます。生前贈与には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があり、暦年課税の場合は、相続前3年間、相続時精算課税を選択した場合は、選択後の累積贈与額と相続財産額に一体課税します。 相続財産が比較的少ない層にとっては、相続財産に適用される税率に比べ、贈与税の税率が高い水準にあるため、分割贈与をしても高い贈与税率が適用される余地が多くなり、贈与に抑制的に作用します。他方、高額な相続財産を有する層では、相続財産に適用される限界税率(55%)を下回る水準まで分割贈与することで、相続税の累進負担を回避して財産を移転できます。 一方、贈与税には、住宅取得等資金、教育資金、結婚子育て資金の非課税贈与制度があり、贈与による財産移転が有利となります。以上から、日本の税制は資産の移転時期の選択に中立的な税制ではありません。 ◆政府税調では税制見直しの議論が進む 政府税調では、相続税のもつ「富の再分配機能」「格差固定化の防止」の観点から、相続税・贈与税の見直しが議論されています。感染症やグローバル化の中、富が社会に偏在することは経済格差を生み、不安定な生活は人の幸せにつながらないことから、あらためて「資産移転の時期の選択に中立的な税制」が検討されています。財産を次世代に渡す高齢者世代も、受継ぐ若者世代も税制にとらわれず、それぞれの暮らし方に応じた時期の移転が望まれます。

【時事解説】長期インターンシップがもたらす効果 その2

 では、長期インターンシップを実施する企業側にはどのような効果が期待されるのでしょうか。そこで文部科学省・経済産業省「学生・企業の接続において長期インターンシップが与える効果についての検討会」において実施された調査のうち、長期インターンシップを実施する企業に対するインタビュー調査の結果をみていきましょう。  インタビュー調査の対象は、長期インターンシップに取り組む企業9社となっており、インタビュー項目は、長期インターンシップ実施状況(インターンシップの種類、実施目的、実施時期、実施期間、プログラムの内容など)、長期インターンシップ効果検証結果、長期インターンシップ活性化に向けた課題となっています。  上記9社へのインタビュー調査から得られるインターンシップの効果に関する示唆のポイントとしては以下の点が挙げられます。 1点目として、長期のインターンシップは、企業にとって入社後の定着やパフォーマンスに良い影響を与えるという点です。2点目として、インターンシップ生のキャリア観の醸成にも良い影響を与えるとともに学習意欲向上の効果もみられるという点です。3点目として、社員教育にも良い影響を与え、特に若手社員にマネジメント的実務を経験する場として活用する例も多いという点です。4点目として、学生のアイデアを取り入れる場としても有用であるという点です。5点目として、上記の効果は大企業に限らず、中堅・中小企業でも同様の効果が発揮されており、特に中小企業において地元大学と密に連携する例もみられるという点です。  このように、長期インターンシップの推進は学生にも企業にとっても、さまざまなメリットがもたらされるのです。(了) (記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】長期インターンシップがもたらす効果 その1

 わが国の採用形態のあり方が多様化する中で、学生と社会の接続に関する取り組みの一つとしてインターンシップが挙げられますが、就業体験を伴わないものや実質的な選考を含んでいるものが一定程度含まれているなど、多様な活動がインターンシップと称して行われているのが実態です。一方で、インターンシップの推進は学生のキャリア観形成にも効果があるものと考えられます。  こうした状況を踏まえ、文部科学省及び経済産業省では2019年度に「学生・企業の接続において長期インターンシップが与える効果についての検討会」において、長期インターンシップに関する様々な調査を実施しています。 上記の調査の中で、学生を対象として実施されたアンケート調査(有効回答数1,373人)の結果をみていきましょう。  まず、最も長く経験したインターンシップの期間について聞いたところ、インターンシップ未経験者が35.9%、1日が18.3%、2~5日未満が14.7%、5~10日未満が19.2%、10日~1か月未満が8.8%、1か月以上が3.1%となっています。最も長く経験したインターンシップで実施した内容についてみると、インターンシップの参加期間が長いほど、実際の業務に触れられる内容となっています。  インターンシップの良かった点についてみると、「自分の適性を知った」「自分の弱み・強みを知った」という項目については、インターンシップの期間が長くなるほど満足度が高くなる傾向がみられます。さらに、インターンシップの参加期間が長くなるほど、学修行動における効果が大きくなるとともに社会への関心等も高まる傾向にあります。  このように、長期インターンシップへの参加は学生にとってさまざまなメリットがもたらされるのです。(つづく) (記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》厚生労働省が推奨する「履歴書」の様式を見直しました

◆厚生労働省が履歴書様式を見直し 2021年4月、厚生労働省は「新たな履歴書様式例の作成について」を発表し、推奨する新たな履歴書の様式例を公表しました。 従来、JIS(一般社団法人日本規格協会)規格の解説の様式例にあった「履歴書」が長年推奨されていましたが、2020年7月にJIS規格の解説の様式例から履歴書が削除されたため、厚生労働省が新たな履歴書の推奨様式例を検討していました。 ◆旧JIS規格「履歴書」様式からの変更点 今回公表された、厚生労働省が推奨する履歴書の新様式例では、まず性別欄が大きく変更されています。 従来の性別欄は、〔男・女〕の選択式でしたが、昨今のLGBT等に代表されるように、性自認についての意識の高まりを受け、任意の記載欄となったことが注目されます。 他にも、従来のJIS規格「履歴書」様式の末尾の方にあった、「通勤時間」、「扶養家族数(配偶者を除く)」、「配偶者」、「配偶者の扶養義務」といった項目が削除されています。  通勤時間や家族構成などは、本人の職業能力とは直接関係ない事項であり、採用を決定する際の選考基準とすることは適切でないため、公正な採用選考を確保する観点から削除されたようです。 ◆入社後に本人に確認することが増えます 今後、採用選考時に新様式の履歴書が提出されることが増えるでしょう。 性別や家族構成など、これまで当然のように「履歴書」で確認していた項目が削除されましたので、入社時の手続き、特に雇用保険や社会保険の被保険者資格取得手続きなどのために、改めて本人に配偶者や扶養家族に関する情報を確認する必要が出てきます。 入社後に入手が必要な情報については、事前にチェックリストや社内の申請書式を用意するなど、新たな準備が必要になりますので、注意しましょう。

《コラム》正社員中心主義から新規雇用増加策へ

◆正社員中心主義だった コロナ禍の中での今年の税制改正により、従来の、大企業を対象とする昇給・設備投資促進税制、中小企業を対象とする所得拡大促進税制は、入退職者は少ない方がよいとする雇用維持とベースアップを奨励する正社員中心主義的な制度から新規雇用促進を奨励する税制に、様変わりしました。 ◆中小企業を対象とする所得拡大促進税制は 中小企業向けの所得拡大促進税制では、既存の継続雇用者の給与の上昇という適用要件を放棄し、新規・既存を問わず、雇用者全体の給与等支給額を増やせとの制度になり、その増加率が1.5%以上の場合には雇用者給与等支給増加額の15%(2.5%以上増加で教育訓練費の対前年比も10%以上増加なら25%)の税額控除が出来るとの制度になりました。既存従業員の雇用維持よりも、雇用全体を増やして、失業救済への社会貢献してくれることを奨励しているわけです。雇用保険への加入も条件にしていません。 ◆新規雇用促進税制へ 中小企業限定ではない、大企業・中堅企業向けの昇給・設備投資促進税制では、設備投資要件が廃止された上、新規雇用をどの程度増やしているかが適用要件になりました。 国内事業所で新たに雇用した雇用保険被保険者に該当する者に1年以内に支給する給与の額の対前年比の増加率2%以上の場合には、新規雇用者給与等支給額の15%(教育訓練費の対前年比が20%以上増なら20%)の税額控除が出来るとの制度になりました。 ただし、解雇の多い事業者を排除するために、前期比雇用者給与増加額が新規雇用者給与総額より少ないような場合には、前期比雇用者給与増加額が控除率を乗ずる対象額の限度となります。 ◆雇用調整助成金の扱い 雇用調整助成金等及びこれに類するものの額については、適用判定の場面での増加割合の計算における雇用者給与等支給増加額や新規雇用者給与等支給額の算定ではこれを考慮する必要はありませんが、税額控除額を計算する際の控除率を乗ずる場面では、これをそれぞれから控除する必要があります。

《コラム》認定経営革新等支援機関への税理士の登場と期待

◆認定経営革新等支援機関とは 中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、2012年8月30日に現在の「中小企業等経営強化法」が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を経営革新等支援機関として認定することにより、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。これは、経済産業省のホームページに掲載されている、冒頭の文章です。 ◆事業再構築補助金の申請では 事業再構築補助金の場合では、認定経営革新等支援機関と相談して事業計画を策定し、事業実施段階でのアドバイスやフォローアップを行うこととされています。 ◆最近までの登録状況 2012年11月5日に2,102件の第1号機関認定があり、2021年4月30日に1,132件の第67号機関認定があり、合計35,221機関が認定されています。登録申請は、初めほどの勢いではないものの、いま再び増えています。 認定機関のうち、個人税理士は20,670機関認定、税理士法人は4,860機関認定、公認会計士は2,501機関認定、監査法人87期間認定と、税務に関連する事業者の割合が高く、80%を占めています。79,280人の税理士登録者数のうちの26%、税理士法人事務所数6,709のうちの72%が認定を受けています。 ◆認定機関の介入を要件とするもの コロナ関連の助成金申請では、この認定機関の関与の要件が緩和されていましたが、今後の経済産業省関連の産業政策・税制の適用要件では、認定機関の関与を必要不可欠とする傾向が強くなりそうです。 今年の税制改正で4月1日施行にならずに、産業競争力強化法等の改正法の施行日待ちになったものが、租税特別措置法の単体法人向けの改正条文に絞った中だけでも条文数で32もありました。中小企業経営強化税制、所得拡大促進税制、70%損金算入のM&A促進税制などなど、産業競争力強化法等での事業者の認定や計画の認定が改正税法の適用の要件になっているためです。

《コラム》IT化との違い、わかりますか?「DXって何のこと?」

◆デラックスではございません 去年あたりからインターネットや書籍等で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を目にする機会が多くなりました。「なんかデジタル通信とかパソコンとかでアレするやつでしょ」という認識の方も多いのではないでしょうか。 そもそも広義のDXとはスウェーデンの大学教授、エリック・ストルターマン氏が2004年に提唱した「デジタル技術が人々の生活を、あらゆる面でより良い方向に変化させる」という考え方を起源とする概念です。ビジネスでDXと言う場合は、大まかには「AIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや組織体制を抜本的に改革することで、競争優位性の確立や外部環境への適応を目指す」という意味になります。 以前の「IT化」は業務効率化やコスト削減を目的としたIT・デジタル技術の導入のことです。DXはさらに会社運営へ踏み込み、デジタル技術を手段としてビジネスモデルや組織など、より広い範囲の変革を促すものとなります。 ◆DX投資促進税制が誕生した背景 国は令和3年度税制改正で「DX投資促進税制」を創設し、民間のDX化の後押しを行っています。 経済産業省の報告によると、今のままでは「IT人材の不足」と「古い基幹系システム」の2つが障害となり、2025年から2030年までの間に、年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとしています。この損失はもとより、世界との競争力を維持するためDXが当たり前となる「ポストデジタル時代」に乗り遅れるのは致命的と考えているようです。 ◆認定されれば税額控除or特別償却 DX投資促進税制では、データ連携(共有)・レガシー回避・サイバーセキュリティ・ビジネスモデル変革・全社戦略等の要件を満たす計画が認定されれば、その計画に基づいて行う設備投資のうち、ソフトウェア・繰延資産・機械装置・器具備品について、税額控除や特別償却が受けられる制度です。 「あまりデジタルに関係のない分野だから」とこの手の話題を避けてきた方もいらっしゃるかと思いますが、この機会に一度検討してみてはいかがでしょうか。

《コラム》結婚・子育て資金贈与の非課税

◆制度概要 結婚子育て資金の一括贈与制度は、直系尊属である父母、祖父母から子・孫に結婚・出産・育児の費用を非課税で贈与できる租税特別措置法の制度です。20歳以上50歳未満の受贈者を対象に最大で1000万円(結婚費用は最大300万円)までの贈与が非課税になります。非課税の対象となる費目については、内閣府HPに掲載されています。 平成31年改正で受贈者は、前年分の合計所得金額が1000万円以下に制限されました。令和3年度は次の改正があり、令和5年3月31日まで2年間、延長されました。 ◆贈与者死亡時、孫への贈与は2割加算に 贈与者が死亡した日までの贈与額(非課税拠出額)のうち、結婚・出産・育児に使用した金額(結婚・子育て資金支出額)を控除した未使用分(管理残額)は相続税の課税対象となっていましたが、新たに令和3年4月1日以降の孫への贈与は、配偶者および一親等の血族以外(代襲相続人である孫・孫養子を除く)への贈与に適用される、相続税額の2割加算の対象となりました。世代間の資産移転を促進する非課税贈与として創設された制度は、相続税法の取扱いがさらに適用され、利用しにくくなりました。 ◆認可外保育施設も非課税の対象になります 非課税の対象となる育児費用の範囲に、新たに1日当たり5人以下の乳幼児を保育する認可外保育施設のうち、都道府県知事などから認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書を交付された施設に対する保育料の贈与も対象となりました。証明書を交付された施設のリストをHPで公開している自治体もあります。 ◆非課税申告書は電子提出も可 この制度の適用を受けるため、取扱金融機関を経由して提出する非課税申告書は、令和3年4月1日より、電磁的方法によっても提出できるようになっています。 ◆生活資金の贈与はそもそも非課税です ところで結婚・子育て資金一括贈与の制度を利用しなくても、相続税法では、もともと夫婦、親子、兄弟姉妹などの扶養義務者からの生活費や教育費に充てるための贈与は非課税とされています。結婚・出産・育児の費用を都度、贈与する、贈与額はすべて使いきる、結婚式披露宴の費用は、双方で費用を分担する、贈与者の送金履歴、受贈者の支払記録を残すなど備えをしておきましょう。

《コラム》令和3年は固定資産の評価替えの年

◆3年に一度の評価替え 令和3年度は、3年に一度の固定資産の評価替えの年(基準年度)です。新しい評価額は、令和4年度、令和5年度まで3年間適用され、市区町村の固定資産税納税通知書および課税明細書に記載されています。 ◆令和3年度は負担調整措置で前年並み課税 土地の評価には、負担調整措置があります。固定資産の評価額に対する税負担に地域や土地による格差があるのは税の公平の観点から問題があることから、負担調整措置により負担水準(評価額に対する前年度課税標準額等の割合)が高い土地は税負担を引き下げたり、据え置いたりする一方、負担水準が低い土地については段階的に税負担を引き上げます。 令和3年度は、評価替えを起因とする税額の上昇を抑えるため、前年度と比較して価格が上昇する場合、令和2年度課税標準額に据え置かれます。納税者の負担は令和2年と同じですが、評価額そのものは改定されているので、しっかり確認しましょう。 ◆宅地評価は相続税と異なります 宅地は地方税法の定める「固定資産評価基準」により評価されます。固定資産税の路線価が設定される地域では、路線価に画地補正率を乗じ、さらに修正率を乗じて1㎡あたりの土地評価額を算定します(修正率は毎年設定)。なお、画地補正率は、市町村(東京23区は東京都)の条例で独自に定めて適用することができます。 固定資産税路線価は、相続税の路線価と異なり、基準年度の前年1月1日(令和3基準年度は、令和2年1月1日)の地価公示価格、または不動産鑑定評価額の概ね70%で設定されます。また補正率は、相続税の補正率と同様のものが設定されていますが、地区の区分や適用される数値は相続税と異なるので注意が必要です。また令和3年度の修正率は、令和2年1月1日から令和2年7月1日までの地価の下落状況を反映して路線ごとに設定されています。今年は減額修正されている路線が多くあります。 ◆所有土地の評価額をチェックする 令和3年度の評価額は、納税者の側でも固定資産税の路線価、画地補正率、修正率を使用して算出できます。市区町村の固定資産税課に出向けば、土地評価額を閲覧できるほか、担当者に問い合わせて評価額の根拠を教えてもらうこともできます。一度ご自身で土地の評価を確認してみてはいかがでしょうか。